JPNIC公開文書著作権表示 (Copyright notice of JPNIC open documents) この文書はJPNIC公開文書であり、著作権は日本ネットワークインフォ メーションセ ンター(JPNIC)が保持しています。JPNIC公開文書は誰でも 送付手数料のみの負担で JPNICから入手できます。また、この著作権 表示を入れるかぎり、誰でも自由に転載 ・複製・再配布を行なって構 いません。 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町1-2 風雲堂ビル1F (社)日本ネットワークインフォメーションセンター "Rules for Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy" 翻訳文 ( ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/translation/icann-udrp-rules-j.txt ) (社)日本ネットワークインフォメーションセンター 最終更新 2000年 2月 4日 この文書は http://www.icann.org/udrp/udrp-rules-24oct99.htm を翻訳したものです。JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、その品 質に責任を負いません。 ----------------------------------------------------------------------- 統一ドメイン名紛争処理方針のための手続規則(参考訳) Rules for Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy −ICANN理事会が1999年8月26日に採択、同年10月24日にその実行文書を承認− ICANNが採択した統一ドメイン名紛争処理方針に基づく紛争処理手続は、この 手続規則および紛争処理手続を行う紛争処理機関がそのウェブサイトで公表す る補則に従って、実施される。 第1条 定義 この手続規則において: ●「申立人」(Complainant)とは、ドメイン名登録に関する申立 (complaint)を提起(initiating)した当事者をいう。 ●「ICANN」とは、the Internet Corporation for Assigned Names and Numbersをいう。 ●「合意裁判管轄地」(Mutual Jurisdiction)とは、 (a) レジストラの主たる事業所の所在地(ドメイン名保有者が、 ドメイン名の使用に関わる紛争の裁判管轄について、登録合 意書でこの旨を承諾している場合に限る)、または (b) 申立書が紛争処理機関に提出されたときに、レジストラの Whoisデータベースで参照できるドメイン名保有者の住所地、 のいずれかの場所における裁判管轄地をいう。 ●「パネル」とは、ドメイン名登録に関する申立を審理・裁定するため に、紛争処理機関が指名した紛争処理パネルをいう。 ●「パネリスト」とは、紛争処理機関がパネルの構成員として指名した 個人をいう。 ●「当事者」とは、申立人(complainant)またはその相手方 (respondent)をいう。 ●「処理方針」とは、登録合意書からの参照により、それと一体になり、 その一部を成している“統一ドメイン名紛争処理方針”をいう。 ●「紛争処理機関」とは、ICANNが認定した紛争処理サービスプロバイ ダーをいう。これら紛争処理機関の名簿は、ウェブサイト www.icann.org/udrp/approved-providers.htmで公表されている。 ●「レジストラ」とは、申立の対象となっているドメイン名を相手方 (respondent)が登録している組織(entity)をいう。 ●「登録合意書」とは、レジストラとドメイン名保有者の間の契約 (agreement)をいう。 ●「相手方」(Respondent)とは、提起された申立の対象となっている ドメイン名登録の保有者(holder)をいう。 [訳者註] ただし、この手続規則の翻訳においては、読み易くす るために、以下、「相手方」およびこれに該当する 「ドメイン名保有者」の代わりに、「登録者」という 用語を使用する。 ●「逆ドメイン名強奪行為」(Reverse Domain Name Hijacking)とは、 処理方針を悪意で(in bad faith)利用して、登録者から、そのドメ イン名を奪い上げようとする行為をいう。 ●「補則」(Supplemental Rules)とは、この手続規則を補完するため に、紛争処理手続を行う紛争処理機関が採択した規則をいう。この補 則は、処理方針または手続規則と矛盾する内容のものであってはなら ず、料金、語数・頁数の制限若しくはその指針、紛争処理機関とパネ ルの連絡方法、および連絡通知文書の表書の様式等を定めなければな らない。 第2条 連絡・通知方法(Communications) (a) 紛争処理機関は、申立書(complaint)を登録者に送付(forwarding) するときは、合理的に利用可能な現実に登録者に対して通知(actual notice)できる手段を講じなければならない。実際に申立書が通知され、 または次の手段が講じられたときには、この責任が果たされたものとす る: (i) 次のすべての郵送先およびファクシミリ番号への申立書の発送 (sending): (A) レジストラのWhoisデータベースで、そのドメイン名の登録 データとして参照できる登録ドメイン名の保有者、技術担 当者(technical contact)および登録担当者 (administrative contact)、並びに (B) レジストラから紛争処理機関に提供されるドメイン名登録 に関する経理担当者(billing contact); (ii) e-mailを使用した電子様式(電子様式による送付が可能な添付 書類を含む)による次の宛先への申立書の発送: (A) 技術、登録および経理担当者のe-mailアドレス; (B) “postmaster@<申立の対象となっているドメイン名>”; および (C) もしドメイン名(または、それにwww.を付け加えたもの) がアクセス可能な(active)ウェブページ(ただし、その ウェブページが、複数のドメイン名保有者により登録され たドメイン名の一時預かり(parking)のために、レジスト ラまたはISPにより運営維持されている共有ウェブペー ジであると、紛争処理機関が判断したものを除く)に繋が るときには、そのウェブページに表示されているすべての e-mailアドレス、またはe-mailリンク; および (iii) 登録者が紛争処理機関に希望する送付先として通知した住所、 および第3条(b)(v)により申立人が紛争処理機関に提示した実 務上可能と思われる他のすべての住所への申立書の発送。 (b) 第2条(a)を除き、この手続規則に規定されている申立人または登録者 へのすべての書面連絡は、各当事者が希望するそれぞれの手段(第3条 (b)(iii)、 第5条(b)(iii)を参照)により、またはそのような希望が ないときは、次の手段により、なされなければならない: (i) 発信記録があるファクシミリによる送信; または (ii) 料金前払かつ受取証の引き換えがある郵送または宅配サービス; または (iii) 発信記録が利用可能なインターネットによる電子送信。 (c) 紛争処理機関またはパネルへの連絡は、補則が定める手段および方法 (その部数を含めて)によりなされなければならない。 (d) 連絡は、第11条で定める言語でなされなければならない。E-mailによ る連絡は、もし可能であれば、プレインテキストによる送信とする。 (e) 当事者は、紛争処理機関およびレジストラに通知する(notifying)こ とにより、その連絡先の詳細を更新することができる。 (f) この手続規則に規定されているすべての連絡は、この手続規則に別段の 定めまたはパネルによる別段の決定がある場合を除き、次の日になされ たものとする: (i) ファクシミリ送信によるときは、発信記録に記載されている日; (ii) 郵送、宅配サービスによるときは、受取証に記載されている日; または (iii) インターネットによるときは、発信された日(ただし、その発 信日が証明されているとき)。 (g) この手続規則による期間は、この手続規則に別段の定めがある場合を除 き、第2条(f)に従って連絡されたとみなされる最も早い日付から起算 される。 (h) すべての連絡の写しが、次の通りに送付されなければならない: (i) パネルからいずれかの当事者へのときには、紛争処理機関およ び他の当事者に; (ii) 紛争処理機関からいずれかの当事者へのときには、他の当事者 に; および (iii) いずれかの当事者からのものは、必要に応じ、他の当事者、パ ネルおよび紛争処理機関に。 (i) 発送者は、その発送の事実および状況を記録したものを、関係当事者に よる検査および報告のために保管しておかなければならない。 (j) 連絡しようとした当事者が、その配達・配信が不能との通知を受けたと きには、直ちにパネル(パネルが一名も指名されていないときには、紛 争処理機関)にその状況を通知しなければならない。それ以後の連絡、 応答に関する手続は、パネル(または紛争処理機関)の指示によらなけ ればならない。 第3条 申立書(Complaint) (a) いかなる個人・団体も、ICANNの認定を受けているいずれかの紛争処理 機関に、処理方針および手続規則に従った申立書を提出することにより、 紛争処理手続を開始(initiate)することができる。(紛争処理機関は、 その処理能力またはその他の理由により、申立書の受理を停止すること ができる。このようなときは、その紛争処理機関は申立書の受理を拒絶 しなければならない。拒絶された個人・団体は他の紛争処理機関に、申 立書を提出することができる。) (b) 申立書は、文書(hard copy)および電子様式(添付書類として添付で きないものを除き)の両方で提出されるものとし: (i) 処理方針および手続規則に従って裁定されることを要請し; (ii) 申立人およびこの紛争処理手続において申立人に代って手続を 行う権限がある代理人の名称・氏名、郵送先住所・e-mailアド レス、電話・ファクシミリ番号を記載し; (iii) この紛争処理手続における申立人への希望連絡方法(連絡担当 者、手段、住所・アドレス情報を含む)を、(A)電子様式のみか らなる資料、および(B)文書(hard copy)を含む資料のそれぞ れについて、明記し; (iv) この紛争処理手続の裁定を下すパネル構成が一名か三名のいず れであるかを選択し、三名構成のパネルを選択するときには、 パネリスト三名のうちの一名を指名するための候補者三名の氏 名・詳細連絡先を記載し(これらの候補者は、ICANNが認定した すべての紛争処理機関のパネリストの名簿から抽出できる); (v) 紛争処理機関が第2条(a)で規定する申立書の送付を行うに必要 とされる、登録者またはその代理人(any representative)へ の連絡手段について、申立人がこの紛争処理手続開始前の交渉 で知り得た連絡先情報を含めて、申立人が知っている登録者の 名称・氏名、および関係するすべての情報(郵送先住所・ e-mailアドレス、および電話・ファクシミリ番号を含む)を提 示し; (vi) この紛争処理手続の対象となるドメイン名(複数でも可)を特 定し; (vii) 申立書が提出された時点において、そのドメイン名が登録され ているレジストラを特定し; (viii) 申立の根拠となる商標、およびもしそれが使用されているとき にはその使用されている商品・サービスを特定し(申立人は、 申立書提出時に、将来その標章を使用する意図がある他の商品・ サービスがあれば、その旨を別に記述することができる); (ix) 処理方針に従って、特に次の点を含めその申立の根拠・理由を 記述し、 (1) そのドメイン名が、申立人が権利を有する商標と同一また は混同を引き起こすほどに類似していること; (2) 登録者が、その申立の対象となっているドメイン名につい ての権利または正当な利益を有していないと考えられる理 由; および (3) そのドメイン名が悪意で登録かつ使用されていると考えら れる理由 (上記(2)、(3)については、適用される処理方針の第4節(b)、 (c)に指摘されている論点について言及しなければならない。 紛争処理機関が定めた補則に規定されている字数または頁数 制限に従わなければならない。); (x) 処理方針に従って求める救済措置を明示し; (xi) 申立の対象となっているドメイン名について、これまでに開始 された、または終結した法的手続(any other legal proceedings)を特定し; (xii) 第2条(b)に従って、紛争処理機関が定めた補則に規定されてい る表書とともに、登録者に対して申立書の写しが発送または発 信されたことを述べ; (xiii) 申立人は、そのドメイン名の登録抹消または移転に係わる裁定 について不服があった場合、少なくとも合意裁判管轄地の一つ の裁判所に出訴またはそこで応訴することを述べ; (xiv) 次の表明を結語とし、申立人またはその権限ある代理人の署名 をし; “申立人は、ドメイン名の登録に関する請求若しくは救済、紛 争または紛争処理について、登録者のみを相手とするものであ り、(a)故意の不法行為(deliberate wrongdoing)を除いて、 紛争処理機関およびパネリスト、(b)レジストラ、(c)レジスト リ管理者(registry administrator)、および(d)ICANN、並び にそれらの理事(directors)、役職者(officers)、従業員お よびエージェントに対する一切の請求および救済を放棄するこ とに同意する。” “申立人は、この申立書に記載されている情報は、申立人が知 りうる限りにおいて、完全かつ正確なものであり、この申立が 嫌がらせなどの不当な目的のためになされているものではなく、 そして、この申立書は誠実かつ合理的な議論に基づいて存在し、 またはそれらによって展開されうるものであって、この主張は、 手続規則および適用法により正当とされるものである、ことを 保証する。”; および (xv) 紛争の対象となっているドメイン名に適用される処理方針の写 し、およびこの申立が依拠している商標登録を含む証拠書類ま たは他の証拠のすべてを、それら証拠の一覧表とともに添付す る。 (c) もし二つ以上のドメイン名が同一のドメイン名保有者によって登録され ているならば、それら複数のドメイン名について申立を行うことができ る。 第4条 申立書の通知 (a) 紛争処理機関は、申立書が処理方針と手続規則に沿っているかどうかを 確認し、不備がなければ、申立人が支払う第19条に定める料金の受領 後3日(暦日)以内に、第2条(a)の定めるところに従い、申立書(紛 争処理機関が補則で定める説明入りの表書とともに)を登録者に送付す る。 (b) 紛争処理機関は、申立書に不備があることを見つけたときには、その不 備の内容を申立人と登録者に速やかに通知する。申立人は5日(暦日) 以内にその不備を補正できるが、それ以降はその申立は取り下げたもの とみなされる。ただし、申立人が追って新しい申立書を提出することは、 何ら妨げられない。 (c) 手続開始日(the date of commencement)は、第2条(a)により紛争処 理機関が申立書を登録者に送付する(forwarding)責任を完遂した日と する。 (d) 紛争処理機関は、手続開始日を、申立人、登録者、関係するレジストラ およびICANNに直ちに通知しなければならない。 第5条 答弁書(Response) (a) 登録者は、手続開始日から20日以内に、答弁書を紛争処理機関に提出 しなければならない。 (b) 答弁書は、文書(hard copy)および電子様式(添付書類として添付で きないものを除き)の両方で提出されるものとし: (i) 申立書の陳述・主張内容に答弁・反論し、問題とされているド メイン名の登録と使用を登録者が維持継続できることについて のすべて(any and all)の根拠を述べ(答弁書のこの部分は、 紛争処理機関が定めた補則に規定されている字数または頁数制 限に従うこと); (ii) 登録者およびこの紛争処理手続において登録者に代って手続を 行う権限がある代理人の名称・氏名、郵送先住所・e-mailアド レス、電話・ファクシミリ番号を記載し; (iii) この紛争処理手続における登録者への希望連絡方法(連絡担当 者、手段、住所・アドレス情報を含む)を、(A)電子様式のみか らなる資料、および(B)文書(hard copy)を含む資料のそれぞ れについて、明記し; (iv) もし申立人が申立書において一名構成のパネルを選択(第3条 (b)(iv)参照)しているならば、登録者は、この代わりに三名構 成のパネルを選択するかどうかを述べ; (v) もし申立人または登録者のいずれかにより三名構成のパネルが 選択されているならば、パネリスト三名のうちの一名を指名す るための候補者三名(ICANNが認定したすべての紛争処理機関の パネリストの名簿から抽出できる)の氏名・詳細連絡先を記載 し; (vi) 申立の対象となっているドメイン名について、これまでに開始 された、または終結した法的手続(any other legal proceedings)を特定し; (vii) 第2条(b)に従って、申立人に対して答弁書の写しが発送または 発信されたことを述べ; (viii) 次の表明を結語とし、登録者またはその権限ある代理人の署名 をし; “登録者は、この答弁書に記載されている情報は、登録者が知 りうる限りにおいて、完全かつ正確なものであり、この答弁が 嫌がらせなどの不当な目的のためになされているものではなく、 そして、この答弁書は誠実かつ合理的な議論に基づいて存在し、 またはそれらによって展開されうるものであって、この主張は、 手続規則および適用法により正当とされるものである、ことを 保証する。”; および (ix) 登録者が依拠している証拠書類または他の証拠のすべてを、そ れら文書の一覧表とともに添付する。 (c) もし申立人が一名構成のパネルを選択していて、登録者が三名構成のパ ネルを選択するときには、登録者は紛争処理機関が定めた補則に規定さ れている三名構成パネルの料金の半分を負担しなければならない。この 料金の支払は、紛争処理機関への答弁書の提出と同時になされなければ ならない。この料金の支払がないときには、一名構成のパネルで審理さ れる。 (d) 登録者の請願があれば、紛争処理機関は、例外的な事件に限って、その 答弁書の提出期限を延長することができる。提出期限は、両当事者の書 面による合意があって、それを紛争処理機関が認めたときにも、延長で きる。 (e) もし登録者が答弁書を提出しないときには、例外的な事情がない限り、 パネルは申立書に基づいて裁定を下すものとする。 第6条 パネルの指名と裁定日 (a) 各紛争処理機関は、パネリストとその資格の一覧表を作成し公表する。 (b) もし両当事者のいずれもが三名構成のパネルを選択しなかった場合(第 3条(b)(iv)および第5条(b)(iv)を参照)には、紛争処理機関が、答弁 書を受領した日または答弁書提出期限満了日から5日(暦日)以内に、 そのパネリストの名簿から一名のパネリストを指名しなければならない。 一名構成のパネルの料金は、申立人がその全額を負担する。 (c) もし両当事者のいずれかが三名構成のパネルを選択した場合には、紛争 処理機関は第6条(e)に従って三名のパネリストを指名する。三名構成 のパネルの料金は、登録者が三名構成のパネルを選択したときに限り両 当事者が折半して均等に負担する場合を除き、申立人がその全額を負担 する。 (d) 申立人が三名構成のパネルを選択せず、登録者が三名構成のパネルを選 択したときには、申立人に答弁書の送付があってから5日(暦日)以内 に、申立人はパネリスト三名のうちの一名を指名するための候補者三名 の氏名・詳細連絡先を、紛争処理機関に通知しなければならない。申立 人は、これらの候補者を、ICANNが認定したすべての紛争処理機関のパ ネリストの名簿から抽出することができる。 (e) いずれかの当事者が三名構成のパネルを選択したときには、紛争処理機 関は両当事者が提出した各候補者名簿から各一名のパネリストを指名す るよう努力(endeavor)しなければならない。当事者が提出した候補者 名簿から、通常の要件に従って、5日(暦日)以内に指名できないとき には、紛争処理機関がそのパネリスト名簿から指名しなければならない。 三番目のパネリストは、紛争処理機関が両当事者に提示した5名の候補 者の中から、その提示から5日(暦日)以内に両当事者が示した意向を 踏まえ、合理的なバランスを考慮した上で、紛争処理機関により指名さ れなければならない。 (f) 全パネルの指名後、紛争処理機関は、両当事者に対して、指名されたパ ネリストおよびそのパネルが裁定を下す期限日(例外的な事情がない場 合)を通知しなければならない。 第7条 公平(Impartiality)と独立(Independence) パネリストは公平、独立でなければならず、その指名を受ける前に、その公平 性と独立性についてもっともと思われるような疑念があるならば、紛争処理機 関にその事情を開示しなければならない。手続係属中に疑念を生じさせるよう な新たな事情が発生したときも、直ちに開示しなければならない。そのような 場合には、紛争処理機関は代わりのパネリストを指名することができる裁量を 有する。 第8条 当事者とパネル間の連絡 当事者およびその代理人は、パネルと一方的な連絡を取ってはならない。当事 者とパネルまたは紛争処理機関とのすべての連絡は、紛争処理機関が定めた補 則に規定されている方法に従って指名された事件管理者(case administrator) に対して、行われなければならない。 第9条 一件書類のパネルへの移送 紛争処理機関は、パネルの指名終了後(三名構成のパネルのときは、最後のパ ネリストの指名終了後)直ちに一件書類をパネルに移送する。 第10条 パネルの権限 (a) パネルは、処理方針と手続規則に従って、適正と思われる方法でその手 続を実施しなければならない。 (b) すべての事件において、パネルは、両当事者が平等に扱われ、各当事者 のそれぞれの立場を表明する機会が公平に与えられることを、確たるも のにしなければならない。 (c) パネルは、紛争処理手続を迅速に行わなければならない。パネルは、例 外的な事件に限り、当事者の請願またはパネル自身の発議により、手続 規則またはパネルが定めた期間を延長することができる。 (d) パネルは、証拠の許容性、関連性、実質性および重要性を決定しなけれ ばならない。 (e) パネルは、処理方針および手続規則に従って複数のドメイン名紛争を併 合審理して欲しい、との当事者からの請願の許否を決定しなければなら ない。 第11条 手続言語 (a) 当事者間による別段の合意または登録合意書に別段の定めがない限り、 手続言語は登録合意書の言語とされなければならない。ただし、手続実 施の状況を踏まえて、パネルが別の決定をする場合には、そのパネルの 権限に従わなければならない。 (b) パネルは、手続言語以外で提出された書類について、その全部または一 部について手続言語への翻訳の提出を求めることができる。 第12条 陳述・書類の追加 パネルはその裁量により、いずれの当事者に対しても、申立書および答弁書以 外に、陳述・書類の追加を求めることができる。 第13条 当事者に対する審問(In-Person Hearings) 電話、ビデオおよびウェブによる会議を含めて当事者に対する審問を行わない。 ただし、パネルの裁量により、例外的な場合に限って、裁定を下すにあたり必 要であるとのパネル決定に基づいて、当事者に対する審問を行うことができる。 第14条 義務の不履行(Default) (a) 例外的な事情が存在しないにもかかわらず、手続規則またはパネルが定 めた期限を、いずれかの当事者が遵守しない場合であっても、パネルは その申立について裁定を下さなければならない。 (b) 例外的な事情が存在しないにもかかわらず、手続規則の規定若しくは要 件またはパネルの要請を、いずれかの当事者が履行しなくても、パネル は適切と思われる判断を下さなければならない。 第15条 パネルの裁定 (a) パネルは、提出された陳述・文書に基づき、そして処理方針、手続規則 および適用されうる関係法規の規定・原則に従って、裁定を下さなけれ ばならない。 (b) パネルは、例外的な事情が無ければ、第6条による指名があった日から 14日以内に、申立に対する裁定結果を紛争処理機関に届けなければな らない。 (c) 三名構成のパネルのときは、その裁定は、多数決により下されなければ ならない。 (d) パネルの裁定は書面でなされ、その理由が述べられるとともに、裁定日 とパネリストの氏名が記載されなければならない。 (e) 裁定結果および反対意見は、紛争処理機関が定めた補則に規定されてい る字数制限指針に従ったものでなければならない。如何なる反対意見も 多数決裁定に付記されなければならない。パネルは、その紛争内容が処 理方針の第4節(a)の範囲を逸脱しているものであるとの結論に達した ときには、その旨を記載しなければならない。もし、申立内容が、逆ド メイン名強奪行為(Reverse Domain Name Hijacking)や登録者に対す る嫌がらせ(harass)に該当するような、悪意に(in bad faith)よる ものであると認められたときには、パネルはその裁定において、悪意に よる申立であり、この紛争処理手続の濫用に該当するものである、との 宣言をしなければならない。 第16条 当事者への裁定の通知 (a) 紛争処理機関は、パネルからの裁定受領後3日(暦日)以内に、その裁 定の全文を両当事者、関係するレジストラおよびICANNに通知しなけれ ばならない。関係するレジストラは、両当事者、紛争処理機関、ICANN に対して、処理方針に基づく裁定結果の実施日を直ちに連絡しなければ ならない。 (b) パネルによる別段の決定がある場合(処理方針第4節(j)を参照)を除 いて、紛争処理機関は裁定の全文と裁定結果の実施日をウェブサイトで 公表しなければならない。如何なる場合であっても、申立が悪意(in bad faith)である(第15条(e)を参照)との裁定が下されたときには、 その裁定部分は公表されなければならない。 第17条 和解その他の理由による手続の終結 (a) 両当事者がパネルの裁定前に和解するとの合意に至ったときには、パネ ルはその手続を終了しなければならない。 (b) パネルの裁定前に何らかの理由でその手続の続行が不必要または不可能 になったときには、パネルは、パネルが定めた期間内に、いずれかの当 事者からそれに反対する正当な異議理由の提出がなければ、その手続を 終了しなければならない。 第18条 裁判所手続の効果 (a) 紛争処理手続前または係属中に、申立の対象となっているドメイン名紛 争について裁判所手続が開始された場合には、パネルはその裁量により、 その手続の中断若しくは終了または続行のいずれかを選択しなければな らない。 (b) 紛争処理手続の係属中に、いずれかの当事者が申立の対象となっている ドメイン名紛争について裁判所手続を開始した場合には、当事者は速や かにパネルと紛争処理機関にその旨を通知しなければならない。上記第 8条を参照。 第19条 料金 (a) 申立人は、紛争処理機関が定めた補則に従い、初期固定料金を期限内に 紛争処理機関に支払わなければならない。申立人が一名構成のパネルを 選択したが、登録者が第5条(b)(iv)の規定によって三名構成のパネル を選択したときには、登録者は、三名構成のパネルにかかる固定料金の 半分を紛争処理機関に支払わなければならない。第5条(c)を参照。こ れ以外は、第19条(d)に規定されている場合を除き、申立人が紛争処 理機関の料金のすべてを負担しなければならない。パネルの指名後、紛 争処理機関は補則に従い、必要があれば、申立人に対して初期料金の一 部を返金しなければならない。 (b) 申立人から第19条(a)に定める初期固定料金の支払があるまでは、紛 争処理機関は申立について一切の手続を進めてはならない。 (c) 申立書の受領後10日(暦日)以内に紛争処理機関に対して料金の支払 がない場合には、その申立は取り下げられたものとみなされ、その手続 は終了する。 (d) 当事者に対する審問のような例外的な事情が発生した場合には、紛争処 理機関は、両当事者とパネルの合意に基づき、それに要した追加料金を 請求することができる。 第20条 免責 故意の不法行為(deliberate wrongdoing)を除き、紛争処理機関およびパネ リストは、手続規則に基づくすべての手続に関係するいかなる作為・不作為に ついても、当事者への責任を一切負わない。 第21条 改訂 申立書が紛争処理機関に提出された時に有効である手続規則が、その紛争処理 手続に適用される。この手続規則は、ICANNによる明示の書面による承認なし には改訂されない。 以 上